2007.05.13 Sunday
第67話 上総国分尼寺跡を見学して来ました
(写真:復元された中門)
女房の強いリクエストで市原市にある上総国分尼寺跡を見に行く事になりました。
個人的にはほとんど興味が無いのですが、いつも勝手な事ばっかりやってるのでこう言う時は素直に協力する事にしています。(女房は運転免許無し)
そんな事で大して期待せず行きました。
場所は市原市役所の近くでした。
気持ち良い緑の草原に一部復元した回廊と資料展示館がありました。
住宅街の中にこんなところが隠れているとは思いもしませんでした。
最初に資料展示館へ入りました。
ちょうど10人ぐらいのグループが出て来たところで、入ったら誰もいませんでした。
展示は一部屋だけで、真ん中に映画鑑賞用のスクリーンと椅子が20脚ぐらい並んでいて、その横に復元模型があり、壁際に出土品が並んでいました。
壁際の展示物を見ようとしたら、スタッフの方が出て来て「20分の映画がありますが先に見ませんか。」と言うので、どちらでも良かったのでお願いしました。
(写真:資料展示館)
その映画は中々しっかり作られた映画でした。
先に映画で時代背景などの説明を聞いておいて良かったと思いました。
それから復元模型の展示を見ました。
これは自動解説付きです。
スポットライトで説明箇所が判るようになっています。
(写真:復元模型。ジオラマです。)
南大門が見学者の方に向いていて全体の構成が判り易くなっていましたが、最後に実際の方角と同じ方角になるように模型が回転しました。
南はあっちの方角になるのか、と思ったら、正面の磨りガラスがパッと透明になり、復元模型と同じ見え方で外に復元された回廊が見えて、一瞬「オー!」と声を上げてしまいました。
こんなショー効果まで考えていたとは、中々やるじゃないですか。
(この写真も撮りましたが、実際に見に行かれる方の為に出さないでおきます)
出土物の展示を見ている時には横で付きっきりで説明してくれました。
マンツーマンで凄いサービスでした。
この資料館で分かった事は、1,250年前の奈良時代に東大寺を作った聖武天皇が、全国の各国60箇所に国立寺院である国分僧寺(男僧)と国分尼寺を作るように命じたのだそうです。
その中で上総国分尼寺は日本一の規模で123,000平方メートルあるのだそうです。
復元模型でその規模が分かったのですが、外の復元回廊は中門と金堂を囲う回廊で、その外はほとんど住宅街になってしまってました。
非常に残念でした。
何故非常に残念だったのかと言うと、パンフレットに1972年の上空写真がカラーで載っていて、そこには市庁舎の一部が隅に映っていてその写真の中央部には住宅街に開発される前の高台が畑と山林だった状態で映っていたからです。
その当時既に遺跡は発見されていたのですが、発掘予算が少ししか出なかった為広範囲に発掘できず、これほど大規模な遺跡とは誰も思わず、宅地開発されてしまったのだそうです。
予算をケチったのはどこなのか(文部省?)聞くのを忘れましたが、全く何と言う勿体ない事をしてしまったんでしょうか。
(写真:仏地の灯籠)
国分尼寺から市庁舎を挟んで反対側に約500m離れた位置に国分僧寺跡があり、そこには高さ70メートルの七重の塔があったんだそうです。
現在の市庁舎より高い立派な建造物です。
何故復元しないのか聞いたら、復元費が50億円かかるので出ない、との事でした。
50億円ぐらいで出来るなら市庁舎より先に造るべきだったと思います。
市原市にそれ以上に全国に誇れるものがあるでしょうか。(更級日記もあるが)
国分僧寺と国分尼寺は是非復元して欲しいと思いました。